鴨川

ファンタジ

劇場空間

Interview

花洛殷賑祇園床

2021年卒業制作展 優秀賞

2021年度 建築学科卒業

堀 勝将さん

Section 1

Outline

“卒業研究の内容について
教えてください”

かつては水場としての利用や劇場・興行の中心地として賑わった鴨川。歌舞伎や京友禅、京の食文化など様々な文化が生まれた場所でもあります。ところが、鴨川は近年ゴミ問題やコロナ禍による伝統産業の衰退などの課題を抱えています。僕自身も通学路として日常的に鴨川沿いを歩き、この数年の間にも活気や文化が薄れてきていることを肌で感じていました。

そこで、鴨川の夏の風物詩「納涼床」の文化をもとに「床」をモチーフにした文化的集合施設を設計しました。作品のタイトルにある「花洛」は「花の都、京都」を意味する言葉。「殷賑」は「賑わい、活気に満ちている様子」を指します。地域の大切な財産である鴨川に「床」と「伝統文化」の橋を架け、人々の賑わいを呼び戻したいという想いを込めています。

Section 2

Focus

“苦労した点や
こだわった点は?”

掛け軸風のプレゼンテーションボードや、木や紙といった自然素材を使って制作した模型など、展示方法にも工夫を凝らし、世界観を表現しました。また、建築業界のプレゼンテーションではまだ一般的ではないCG映像の制作にも挑戦。アニメや映画のカメラアングルを参考にしながら、作品の見せ方を探っていきました。企画・制作を通してこだわったのは、リアルとファンタジーのバランスです。
設計そのものは「本当にあるかも」と思ってもらえるレベルまでリアリティを追求しましたが、見せ方についてはファンタジーの要素も盛り込んでいます。例えば、プレゼンテーションボードのイラストやパースに浮世絵と現代の写真を混在させたり、映像に建物が空から落ちてくる表現を取り入れたり、現実からファンタジーの世界へ足を踏み入れた感覚を味わってもらえるよう意識しました。

Section 3

Objective

“卒業研究を通して
学んだことと
今後の目標を教えてください”

建築にファンタジーの要素をプラスするという考え方はゼミの仲間から影響を受けています。僕はずっと人が実際に使うことを想定して設計するのが建築だと思っていましたが、ゼミにはファンタジー要素が強い抽象的な建築に取り組む人も多く、新たな気づきを得ました。また、制作中にゼミの安田先生から「楽しみにしています」と言っていただいたことも印象に残っています。

僕にとって卒業研究は、KYOBIで建築の楽しさに触れてきた4年間の集大成。最後まで楽しんで制作に取り組もうと考えていたので、先生にも楽しみだと言っていただけたことが嬉しく、期待に応えたいとモチベーションも高まりました。結果的に細かな反省点はありつつ、全力を尽くして悔いのない作品をつくることができたと感じています。卒業後は大手ハウスメーカーに勤務します。建築に長く携わり、いつか人の心を動かす建築を手がけるのが今後の目標です。

※こちらのインタビューは2022年3月時点の内容です。

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