SPECIAL CONTENTS
KYOBIで磨く実践力
京都市が行うアートプロジェクトに、本学から有志の学生が参加。
数ヶ月かけて、京都の地下を明るく楽しくする作品を制作しました。

Project1
京都市交通局
駅ナカアートプロジェクト2024
芸術系大学を中心とした学生によるアート作品で、京都市営地下鉄の駅を活性化するプロジェクト。本学のチームは、烏丸御池駅の烏丸線ホーム階(国際会館行)を華やかに彩りました。
烏丸御池駅(国際会館方面ホーム)展示風景
制作の流れ
Step1:企画・デザイン
壁面には50mm×50mmの白いタイルが整然と並んでいます。そこからヒントを得て、京都の自然の風景をグリット化し、四季の色彩を抽出。その色のカーペットピースを作り、壁面を彩るデザインを考案しました。
Step2:制作
カーペット素材をタイルと同じサイズにカットして、季節ごとの色合いに分類。1枚ずつ貼るのは大変なので、まとめて貼り付けることができるように、カーペットピースをつなぐパーツも設計し、3Dプリンタで制作しました。
Step3:設置
大量に作ったパーツを、タイルの上に貼っていきました。色の配置によって、春・夏・秋・冬と四季が巡っていく様子を表現しています。自然がモチーフなので、全体的になだらかなラインを描くように意識しました。
作品のポイント
Interview1
アクセントとして、質感の異なるピースを加えました
平面的なカーペットピースのなかに、異素材で作った立体的なピースを散りばめました。私が担当したのは「タフティング」という技法で作った、毛足の長いピース。見た目が華やかになるだけでなく、フワフワした手触りも楽しめます。普段からタフティングで作品を制作しているのですが、異なる素材と組み合わせたのは今回のプロジェクトが初めて。平面と立体を掛け合わせることで生まれるおもしろさを発見しました。設置作業をしているときから、通りがかった方々に「かわいいね」「触っていい?」とお声がけいただいて、とてもうれしかったです。
村井 千裕さん
デザイン・工芸学科 CULTUREデザインコース 2年生
龍谷大学付属平安高校(京都府)出身
Interview2
急いで通り過ぎる駅が、五感を刺激する「感じる建築」に
烏丸御池駅へ下見に行ったとき、電車の乗り換えをする多くの人が急ぎ足で、うつむきながら通り過ぎていくことに気づきました。そこで、パーツは壁の下のほうから配置することに。忙しいときでも、明るい色がパッと目に飛び込んでくることで、楽しい気持ちになってもらえるのではないかと考えました。駅は利用目的がはっきりしている場ですが、今回のプロジェクトのように多様な色や素材、形を取り入れると、五感を刺激する空間に変わります。デザインやアートの力によって、公共建築もさまざまな体験ができる「感じる建築」になるということを学びました。
垂澤 勇輝さん
建築学科 建築デザイン領域 4年生
長野工業高校(長野県)出身
Pick up
ポスターも担当しました!

栄井 美結さん
デザイン・工芸学科 ビジュアルデザインコース 2年生
武田高校(広島県)出身
駅のなかにアート空間を作り出すプロジェクトなので、不思議な異空間をイメージしてデザインしました。新しい世界をのぞき、アートや参加している大学のおもしろさを知ってもらいたいという思いも込めています。たいへんだったのは、デジタルサイネージや動画といった複数のツールへの展開。多くの工程と何人ものプロの手を経ることで、やっとデザインが世に出るということを学びました。グラフィックデザイナーをめざしているので、いい経験ができたと感じています。こうした苦労を乗り越え、実際にポスターが掲出されているのを見たときにはとても感動しました。今後もさらにスキルを磨き、たくさんの方々に私のデザインを見ていただきたいです。
教員コメント
芸術学部/東 俊一郎 准教授
駅ほど多くの人に作品を見てもらえる場所はありません。今回のプロジェクトを通して、学生たちは思いを伝えるための方法や工夫を学べたと思います。

Project2
第2回 四条通地下道アート展
「Art Under the Shijo」
6組の学生チームが、四条通の地下道に作品を展示するプロジェクト。本学の学生は、地下でありながら窓の向こうに雄大な自然が広がっているような作品「山紫水明」を制作しました。
四条地下道(13番出口付近)展示風景
制作の流れ
Step1:現場下見
白い合板に、等間隔に伝統文様が帯のように入っていることを発見。
Step2:コンセプト設定
伝統文様の帯を柱に見立てて、閉塞的な地下に外の風景を眺められる窓を表すことに。窓をトリックアート的に表して、写真撮影も楽しんでもらえるよう工夫することにしました。
Step3:デザイン・制作
景観条例が厳しい京都ですが、地下なら大胆な色使いも可能です。明るくポップな色のデザインに仕上げ、大学の大判プリンターで一気に印刷しました。
作品のポイント
Interview3
人の流れを計算し、南北の壁面に違うデザインを展示
四条通地下道は中央に並ぶ柱を挟んで、南北2つのレーンに分かれています。現地調査に行ったとき、左側通行が定着しており、朝は南側、夕方は北側の人通りが多いことに気づきました。そこで南側の壁面には、出勤や通学の際に自然と目線が上を向くような山並みの風景を。北側には、仕事や学校の帰り道に心を落ち着かせてくれるような、鴨川の風景を表しました。この作品も「駅ナカアートプロジェクト2024」と同じく京都の自然をモチーフにしていますが、細長い一本道なせいか地下鉄駅構内よりも暗い印象があったので、あえてポップな色を使いました。
岩松 英里子さん
デザイン・工芸学科 インテリア・空間デザインコース 4年生
龍谷高校(佐賀県)出身