SPECIAL CONTENTS
「ポートフォリオ」から知るKYOBIの学び
就職が決まった先輩に、4年間の過ごし方についてインタビュー!
ポートフォリオの中から、とくにお気に入りの作品も教えてもらいました。
ポートフォリオ:個人やグループで制作した作品や資料などを実績としてまとめたもの。美大生にとって自己アピールのための重要なツールとなり、就職活動でも役立ちます。
INTERVIEW 01
伝統工芸の街に憧れて、
KYOBIに入学
鈴木 花音 さん
[内定先]株式会社中川政七商店(工芸プロデュース&コンサルティング)
工芸学部 美術工芸学科※工芸コース(木工・彫刻) 4年生
札幌創成高校(北海道) 出身
※2023年4月より芸術学部デザイン・工芸学科に名称変更
KYOBIでの学び
-
Q.1数ある美大のなかからKYOBIを選んだ理由は?
中学生の頃、伝統工芸体験に参加したことがきっかけで本格的に学びたいと思うように。出身地の北海道を離れて京都の大学を選んだのは、伝統工芸が街のなかに息づいている土地だと思ったからです。伝統工芸のなかでも何を専門にするか悩んでいた私にとっては、陶芸、木工、漆芸など、さまざまな分野を一通り体験できるKYOBIのカリキュラムもぴったりでした。マグカップを焼いたり、螺鈿(らでん)のブローチを作ったりと、どの授業もとても楽しかったです。
-
Q.2今はどのようなことを学んでいますか?
木工・彫刻を専攻しています。一度刃を入れてしまうとやり直しができないため、ほかの工芸よりも難しく感じましたが、木の塊だったものから少しずつ形が現れてくるのが面白くて、その奥深さに惹きつけられました。とくに興味をもったのは仏像彫刻。2年生のときの授業で愛染明王(あいぜんみょうおう)を彫り、優しそうな笑顔で人々の心を癒やす存在を木から生み出すということに魅力を感じました。これからは卒業制作として、普賢菩薩(ふげんぼさつ)の彫刻に取り掛かる予定です。
-
Q.34年間学ぶなかで成長したと感じることは?
プロジェクト演習という授業で、ほかの領域の学生と一緒に落雁(らくがん)の木型を作ったことがあります。それまではひとりで作品を制作することが多かったのですが、このときにグループでひとつのものをつくる大変さと、思いを形にする楽しさを実感。もともと人に思いを伝えるのが苦手だったのですが、プロジェクト演習のおかげで積極的に話しかけられるようになりました。先生との距離も近く、とても優しく指導してくださり助けていただきました。
私のイチオシの作品
時間を忘れて没頭できる細密画の制作
高校時代から細密画を描くのが好きで、今も木工・彫刻と並行して制作しています。この作品は北海道から京都に来たばかりの頃、環境の変化や周りとの違いに悩み、心を落ち着かせたくて描いたもの。「想い」をテーマに、喜怒哀楽を表現しています。それまで細密画は黒一色と決めていたのですが、このときは初めて削り絵に挑戦。まず画用紙をいろんな色で塗り、上から黒色のクレヨンを塗り重ねて、その黒色を削ることで線を描きました。どんな色が出るかわからないので、とてもワクワクしたのを覚えています。やり直しのきかない緊張感のなか、時間を忘れて取り組めるという点で、細密画と木工・彫刻は似ているかもしれません。
その他の作品
子供のころ
細密画
子供のころの夢やワクワクした気持ちをあえて黒のボールペン一本で表現。見る人の頭の中で想いの色を付けてもらいたい。
ホテルエントランス装飾 デザイン
エントランスデザイン
奈良の櫓を使い、落ち着いた空間と流れる時間を感じるひと時に…お客様を向かい入れた時に一目で目を引くデザインと心安らぐ色合い。茶の間から見える鹿のダイナミックさと椅子の対比による立体感。待ち合わせの時間までも楽しめる遊び心を持ち合わせた椅子。気が持つ魅力を最大限に引き出し、見て、触って、香れるなどいろいろな視点から楽しんでもらえるエントランスに仕上げた。
京都・美山の魅力を取り入れた落雁の制作
プロジェクト演習
かやぶき屋根でも有名な美山町の自然の豊かさを落雁で表現するために、そばの花や、昔懐かしい丸ポストなどをできるだけ簡略化して制作することを心がけた。
愛染明王(制作中)
彫刻
受験生へのメッセージ
入学前には、ぜひ一度大学を訪れてみてください
私は遠方だったこともあり、実際にKYOBIのキャンパスを見学することなく入学したのですが、やはり現地を訪れないとわからないことはたくさんあると思います。大学や街のなかを歩き回り、その雰囲気を肌で感じることで、学生生活のビジョンも持ちやすくなるはず。オープンキャンパスなどにも積極的に参加してみてください。