KYOBI BLOG

建築学部

1年生の建築実習授業「工芸実習導入」の様子をご紹介します。

なさんこんにちは。記念すべき建築学科ブログ初回の記事を担当しております、建築学科教員の岡北です。工事を続けてきた 新校舎が完成し、KYOBIは6月に入り新しい環境の中で新たなステージへと突入しています。

さて、前期授業は折り返し地点をこえました。4月に入学してきた新入生の皆さんも、大学での授業や生活に慣れてきて、1週間の過ごし方、時間の使い方がだいぶうまくなってきたように思います。

1年生は、建築学だけでなく、外国語や教養科目デザイン・美術・工芸科目など多くの授業を毎日ハードにこなしています。その1週間の締めくくりの金曜日の、さらにはその最後の授業となる3・4・5限目に開講されているのが「工芸実習導入」です。これはいわゆる建築設計演習の入門編です。学生のみなさんは、連日の授業の疲れがたまってくる頃だと思うのですが、いつも真剣に熱心にこの授業に取り組んでいるため、われわれ担当教員の解説や指導にも力が入ります。

現在は、複数の教室を使い、新型コロナウイルス感染症対策を徹底して実習を行っています。 それぞれの教室を回線でつなぎ、オンラインでの解説・講義を取り入れ、教育効果を高めています。また4名の教員と4名のTA(ティーチング・アシスタント)で学生の実習をしっかりサポートしています。

↑ 建築模型についてのオンライン講義

多くの1年生は、製図板、平行定規、勾配定規、製図用シャープペンシルなどの「製図道具」を初めて使います。当然のことながら、それらの道具を利用して製図をおこなったことがない学生が大半を占めます。そこでこの授業では製図の初歩的な内容(線の引き方や、建築図面特有の文字記号の練習)の学修から始めます。

いまは、著名な建築家、安藤忠雄 「住吉の長屋」題材に実習を進めています。まず建築設計図面のトレース(設計された建築図面をうつしとる)をおこない、透視図法 や 軸測投影図法(紙の上で建築を立体的に表現する)で空間を描き、模型制作 へと進みます。こうした一連の課題により、製図や建築設計の基本を学ぶとともに、鉄筋コンクリート構造 の建築の仕組みや構造、この作品の幾何学的で独特の空間、 明快な寸法構成、 仕上げ や 細部へのこだわり をも理解することができます。

↑ 京都タワーが見える開放的な実習室。TAが丁寧に指導します。

ではここで、学生の図面作品と、この課題についてのインタビューをご紹介いたしましょう。ご協力くださった青木さんは普通科高校(大阪府立花園高校)出身で、先に述べたように、本学新入生の大多数を占める建築製図・設計未経験者の一人です。最初は緊張していた青木さんですが、色々なことをお話してくれました。インタビュー中に漫画の話で盛り上がりました(『チ。』とか『呪術廻戦』とか。)。わたしは田島列島さんの作品をオススメしました。

Q:工芸実習導入の授業はどうですか?

建築は自分が好きで選んだことなので、毎日大学に来るのが楽しみです。製図は初めての体験で、最初は慣れなかったですが、書道の経験 が長く、手本を写していく作業はそれと共通する部分があるので、集中して取り組めています。型をしっかり学ぶことの大切さを建築設計製図でも実感しています。

Q:住吉の長屋の図面トレースで学んだことはなにですか?

建築図面には多くの種類があり、それぞれが関係しあっていることを理解できました。とくに断面図はこれまで見たことがない図面だったので、とても新鮮でした。建築を解剖しているような気分 で楽しかったです。

Q:今後どんな建築を設計したいですか?

高校で課外授業を受けた時に、建築家の方が大阪の大きな商業施設について説明してくれました。その時のことはいまでも鮮明に覚えていて、できれば自分も 都心部の大規模なビルの設計をしてみたい です。でもいま強くイメージしているものがあるわけではなくて、具体的にはこれから勉強を続けながら考えていきたいです。自分の家は自分で設計したい とも思います。

さて、青木さんの図面について簡潔にコメントいたします。書道の腕前を思わせる美しい文字・数字、さらには 線の太さ(細線、太線)や 線種(一点鎖線、破線)の使い分けがとてもうまいです。写真ではなかなか伝わりにくいかもしれませんが、細部まで丁寧に描かれています。それだけでなく、仕上げるまでかかる時間も短く、総じて高く評価できます。

最初は技術的に未熟でも、びっくりするぐらい上達していきます。そんな若さとエネルギーにあふれた学生たちに教えられること、刺激されることが多く、教員も金曜日の午後に、非常に充実した時間を過ごしています。

(講師 岡北一孝)

第2回 KYOBI 授業探訪 工芸編
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