建築学科では、建築デザイン領域と伝統建築領域の、いずれかの専門的な領域を3年生後期から選択することができます。また4年生では、多様な専門領域をもつ教員の指導により、ゼミナール形式で学ぶことができます。集大成とも言える卒業設計では、より高度で専門的な能力を習得しながら、表現力にもこだわり、魅力的なデザインと説得力のある提案を行う力を磨きます。
小梶ゼミは、12名が在籍しています。前期は、水曜日の午後の4~5限、金曜日の1~2限に行っています。ゼミ生はその時間以外にも、部屋を自由に使うことができ、集中して作業や研究をしたり、またお互いの情報交換の場として利用しています。
ゼミは、今年の4月から新しく開講しました。現代を大きな変化の時代として捉え、これからの持続可能な社会の実現に向けて、一人一人の行動や感性がさらに大切になると考えます。建築は社会の資産ですが、一人一人の思いや工夫が積み重なり、成り立つものです。モノから、空間へ、それらが重なり、複合し、あるいは溢れだし、バランスを取りながら、かたちづくられて行きます。そのような環境を、真摯に丁寧に創り上げていこうと思います。家具やインテリア、空間はもちろん、建築へ、環境へ、様々に発展していきます。
金曜日はデザイナーとしてのトレーニングを積む「アトリエ」として時間を過ごします。写真はこのアトリエ・クラスで、表現力の基礎となる<デッサン>に、取り組んでいるところです。子供のころ遊んだ「積み木」ですが、建築家の卵として、重力や影、素材感を意識した表現に取り組んでいます。将来のプロフェッショナルとして、そのトレーニングも怠りません。
↑ デッサン中の風景
同じ対象の描写でも、作品には個性が表れます。基本的には静物やプロダクトを、ケント紙に4Bの鉛筆で描いていきます。線のタッチに微妙な変化を加えながら、素材感や陰影を含め表現を熟していきます。
↑ できあがった作品
講評は教員からだけではなく、学生からも良いところ・工夫が必要なところを話し合います。批評をする目を持つことが、新しい自分の発見につながるからです。
↑ 講評中のワンカット
下の図は、アトリエ・クラスでの<構成課題>の作品です。このデザイン・トレーニングでは、「詩」からのインスピレーションを表現する平面構成や、色彩構成、グリルのデザインなど、幅広く未来に向けた制作に取り組みます。これらの作品は自らの卒業設計に、組み込まれていきます。
続いては新しく完成した新東館の4階のゼミ室をご紹介します。こちらは大きなワンフロアを12のブースにがガラススクリーンで仕切っていて、オープンな空間となっています。こちらでは「エスキース」を行い、制作に励んでいます。このフロアは全体に天井がなく、最上階の屋根の構造や設備が直接見えるので、とても勉強になります。あちらこちらからゼミの気配が感じられ、活気のあるオープン・ゼミスタジオとなっています。
↑ オープンゼミ室での作業風景
水曜日は「エスキース」が基本ですが、時には学外での授業も行います。写真は「産寧坂」で、清水寺から八坂神社に繋がる坂道です。京都らしさや居心地の良さを発見するため、ディスカッションを行いながら、フィールドワーク調査を行いました。日常では意識することの少ない、場所の持つ「心地良さ」について、現地での評価を、記録していきます。
↑ フィールドワーク中の風景
↑ フィールドワークで感じた「居心地」のいい場所
(特任教授 小梶 吉隆)