今回は京都学演習Ⅰの授業風景をお届けしたいと思います。
この授業は学生全員とも必須の科目ですが、工芸学科と建築学科でわかれて受講します。
【課題と取組】
建築学科では、京都府内に位置する、あるいは京都に関連がある特色のある建造物やまちなみ、景観、庭園などを選定し、その歴史(由来、建設経緯や設計者など)や特性(意匠的・構造的特徴など)を調べ、専門家のみならず、誰にでもわかりやすくその魅力を伝えるパンフレットを作成することを課題としています。
まずはパンフレットのテーマを設定して調査物件を選定、実際に調査して、その内容を魅力的に表現して相手に伝える。創意と工夫が求められる課題となっています。
例年はグループワークで町を散策していましたが、昨年度・今年度はコロナ禍の影響によりグループでのフィールドワークを取りやめ、3密を避けるため対面での授業時間を極力減らし、人数を分散しました。
その代わりに「Google My Maps」を活用して、オンラインで情報を共有しながら授業を進めました。
▲まずは昨年のパンフレットを閲覧しながら自分の作品の構想を練っていきます。さてさて、テーマや調査物件は何にしようか、デザインや折り込み方もかなりの工夫が必要そうです!
【Google My Mapsによるデータ作成とチェック】
「Google My Maps」とは、Googleが提供するサービスで、一つの地図上で複数人の情報がシェアできるシステムとなっています。
まずは、自分が選定した建物や街並みを彷彿とさせ、テーマに相応しいアイコンを作成します。
次に「Google My Maps」に物件の位置がわかるようにアイコンをプロットし、写真やスケッチ、説明などのコンテンツを埋め込みます。
そして、グループ毎に共有して作品データチェックと意見交換を行い、より良い作品に仕上げていきます。
▲テーマに沿ったアイコンが選定物件の場所を示し、アイコンをクリックするとコンテンツが表示されます。
数人分のアイコンが散りばめられると色とりどりのマップができあがり、情報も充実します。
【優秀作品選出】
数度のデータチェックと意見交換を経て、作品を仕上げると、いよいよその作品を提出し、建築学科2年生全員で優秀作品を選出します。
さて、自分の作品はみんなの目に留まるでしょうか・・・・
▲予め全員の作品をデータでチェックしてから、パンフレットの実物を手に取って見比べました。
▲約150人分のパンフレットができ上ると壮観です。どれも個性豊かなオリジナルのパンフレットができあがりました。
【講評会】
優秀作品に選ばれた人は調査内容やパンフレット作りの工夫などについてプレゼンテーションをしました。
どれも素敵な作品ばかりで、選出するのが難しかったです。
選出された方はおめでとうございます!
▲パンフレットを手に取りながらのプレゼンテーション。制作の工夫や苦労が伝わってきます。
【作品】
それでは、何点か作品をご紹介いたします。
▲ 京都にある日本で最古のものをまとめた作品。みんなが「へ~っ!」と感嘆。地図も見やすく工夫されています。
▲京都で近代・現代に建てられた美術館をまとめた作品。なかなかスタイリッシュに仕上がっています。実は京都には有名建築家の作品もたくさんあるのです。
▲京都の煉瓦造建築をまとめた作品。いわゆる明治建築も数多く残っています。スケッチのタッチが絶妙で赤煉瓦のレトロな雰囲気が伝わってきます。
【フィールドワーク】
講評会を経て、他の人に紹介してもらった建造物や興味のあるまちなみなどを個別で見てまわりました。
これまで以上に建築の見方・楽しみ方の幅が広がったことと思います。
調べる力、観察する力、表現する力、意見を交換する力・・・などなど、あらゆる力を伸ばす原動力になったのでは!と期待しています。
▲気になる建物をじっくり観察。大学近辺は歩くだけで面白そうな物件が見つかります。まさに教材の宝庫、京都がキャンパスといっても過言ではありません。
(学部長・教授 高田光雄/准教授 井上年和)