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建築学部

安田ゼミの活動のご紹介

建築学科 建築デザイン領域 安田光男と申します。当ゼミには大学院生1名、学部4年生12名の計13名が在籍しています。

私たちはフィールドワークを通じて、居住環境についてディスカッションを行い、設計事例の丹念なリサーチ・分析を通して、最適解は何かを一緒に模索しています。

今回は京都府大山崎町にある聴竹居での見学会についてご紹介します。

聴竹居は建築家が昭和時代に建てた住宅として、2017年に初めて国の重要文化財に指定された建物で、1928年に建築家・藤井厚二によって彼と彼の家族が住む自邸として設計されました。

「一般社団法人 聴竹居倶楽部」代表理事の松隈章様のご協力を得て、聴竹居の住宅の機能としての説明はもちろん、建築家・藤井厚二の人柄も含めて、とても興味深いお話を聞かせていただきました。

この建物は築90年を超える木造建築でありながら、現代に生きる私たちに多くの示唆を与えていることに驚かされます。

現代的な生活の中に自然環境を取り入れた室内環境を実現させよう、という藤井厚二の構想は隅々にまで行き渡っていて、随所に工夫が盛り込まれています。

例えば、「クールチューブ」と名付けられた導気管によって、外部の涼しい空気を室内に取り込み、機械的な設備を用いずに夏の酷暑をしのげるよう計画されています。

また、床下から取り込んだ外気や、室内で温まった空気を天井裏に導き排気する「通気筒」のシステムなど、気圧差や温度差を利用して、いくつもの空気の通り道を設定しています。

私たちが訪れた日は、じっとしていても汗が噴き出してくるような非常に暑い日だったのですが、実際に建物の中に入った瞬間、ひんやりと涼しく感じました。

こういった様々な自然環境に対する試みは、実際に体感することでその大切さを知ることができます。現地では設計図面や貴重な資料などを閲覧することができ、その仕組を詳細に理解することができます。

そうした環境への配慮だけではなく、室内意匠としても非常に優れた建物として知られています。

居間(藤井厚二は「居室」と称しています)に隣接する縁側から、桂川・宇治川・木津川の3本の川が合流するダイナミックな風景を一望に眺めることのできるのですが、その開口部(窓のことです)に工夫が凝らしてあります。開口部の中央から端に行くに従って、ガラス部分の幅が小さくなるように設計されています。(下の写真参照)

これは遠近法の効果を使って風景がより幅広く見える工夫です。

また、コーナーのガラス部分(下の写真右側)は非常に繊細な木製の材で角を形成しているため、視界が遮られずパノラミックな風景が目に飛び込んできます。

90年前の住宅に見えないモダンなデザインだと思いませんか?

ところで、この部屋の柱はどこにあるのでしょうか?

興味のある方は是非調べてみてください。参考に「聴竹居倶楽部」のHPのリンクを貼っておきます。

http://www.chochikukyo.com/

百聞は一見にしかずと言いますが、こういった建物における効果や工夫については、どんなにIT技術が進んだとしてもその場所に行って実際に体験しなければ、本当の価値を味わうことは難しいのではないかと思います。

安田ゼミではこのように実際に建物を訪れて、居心地の良さの裏にある様々な工夫を自分で体感して建築設計に活かしていくことが大切であると考えています。

(教授 安田光男)

第10回 KYOBI授業探訪 木工・木彫コース 工芸実習
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