大上研究室は、建築学科伝統建築コースの研究室です。
大上直樹特任教授以下4年生15名が所属し、日本建築史のうち主に技術史の分野の研究をおこなっています。また、建築の表現手法として3次元CAD・CGを取り入れ、学生のコンピューターリテラシーの向上にも努めています。
我々のいう技術史とは、日本建築が実際にどのように設計されたのか、つまりいかにしてさまざまな寸法が決定されてきたか、その体系を解明することをいいます。こうした研究は、学生にとっても単に歴史的建造物だけでなく現代建築の設計にも役立つと考えられます。
ゼミは週一回各自のテーマについて研究発表(1人30分程度)をおこなっています。また15人全員の個別指導も週一回おこない、学生とともに研究課題を考えています。
また、京都や奈良などの社寺や文化財修復現場にも足を運び、直に歴史的建造物に触れるようフィールドワークにも出かけ見分を広げています。
今年度の卒論のテーマは以下のとおりで、各学生は資料収集やCAD作図あるいは古文書の解読を熱心におこなっています(学生1名が1テーマを担当)。
① 仏像と仏堂の関係に関する研究
② 前室付流造の近世の変容
③ 多宝塔の設計技法の研究
④ 京都の町並みの定量的分析の研究ー高瀬川の事例をとおしてー
⑤ 愛媛県鬼北町の近世社寺建築の研究
⑥ 宮崎県都城市における真宗仏堂の研究と設計
⑦ 垂木の断面寸法の決定技法の研究
⑧ 非六枝掛組物の設計技法の研究
⑨ 寺院における建物相互の関係性に関する研究
⑩ 蟇股の意匠の変容過程に関する研究
⑪ 善光寺五重塔の復原研究―立川流復原案―
⑫ 歴史的建造物における「鏡」の研究
⑬ 参詣駅舎建築の研究
⑭ 善光寺五重塔の復原研究―小林源蔵復原案―
⑮ 初期木割書にを資料とした五重塔の設計技法の研究
その他、『摂津市史』執筆のための寺院建築調査、鬼北町(愛媛県)学生フィールドワーク補助事業による近世社寺建築調査、近江八幡市登録文化財の指定調書指導など、歴史的建造物について、さまざまな活動をおこなっています。
大上直樹