こんにちは、山内貴博です。本研究室は「場の固有性」を大きなテーマに掲げ、現在は「建物と庭の関係」に焦点をあてて議論しています。
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ところで私は、設計するものにその街の雰囲気をまとわせることは出来るのか考えるようになり、2006年から街の雰囲気の違いを研究しています。雰囲気を感じるのは人で、見ている対象は街です。街の雰囲気は、場の個性や特徴といったその場に固有な性質、すなわち「場の固有性」のことと定義できるように思います。
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分析手法は、デザインサーベイを主にしています。環境デザイン分野の研究者だった稲次敏郎は、次のように述べています。
私はデザインサーベイを、デザインにおけるConcept-概念構築の原点に位置付けている。自分の限られた体験による思考を、フィールドに出ることによってその範囲を拡大し、自分の思考を客体化することによってデザイン概念を構築する。これが私のConcept構築手法である。私たちの日常であるデザインワークとしての「創作活動」の基調となる「認識活動」として、デザインサーベイをとらえている。すなわち認識とは、体験であり、観察であり、考察であり、創造の原点である。デザインサーベイは、ともすれば早急に計画・設計活動の手法に直結しようとする過ちをおかしがちである。しかし、常にいえることは、認識活動による概念形成は、すべてが創作活動としての計画・設計に直接的には結びつかないが、優れた計画・設計は認識活動による概念形成に結びついている、ということである。
稲次敏郎著『庭園と住居の《ありやう》と《見せかた・見えかた》-日本・中国・韓国-』山海堂、1990,p171
このことを念頭に、メンバーは各々の研究を進めています。
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ご一読、ありがとうございました。