こんにちは、建築学科教員の森重です。ゼミでの活動についてご紹介します。現在は4年生と大学院生合わせて12名が在籍しており、ゼミでは基本的に卒業制作および修士研究に関するリサーチと議論を行っています。
卒業制作・修士研究ともテーマはそれぞれの関心事から各自で設定しますが、論文の場合は教員の専門領域である建築計画・住宅計画に関する内容とし、特に京都のまちや路地、地域に根ざした建築などを対象とした現代的課題を扱います。設計の場合の対象は自由ですが、具体的な設計に入る前に、建築計画的なアプローチから、そのテーマに関する現代の社会の状況や歴史的な経緯についてのリサーチを十分に行ってから設計を進めていきます。
各自のテーマを深める活動に加えて、ゼミ全体でのフィールドワークも行っています。
フィールドワーク①:京都のまち歩き
この日は四条烏丸〜烏丸御池近辺のまち歩きを行いました。
毎日大学に通っていてもあまり京都のまちのことを知らない、まちなかのお店で買い物はしてもまちなみをゆっくり見たことがない、そんな人も多いようです。田の字地区と呼ばれる京都の歴史的都心には、町家や路地も残る中、高層のマンションやホテルが立ち並んでいます。古い建物と新しい建物が混在するまちの様子からは、京都のまちの課題と、これまでの景観政策の経緯を読み取ることができます。景観条例についての解説を交えながら、町家を見つけては観察したり、新しい建築のデザインについて意見交換したりなど、じっくりと歩きました。
フィールドワーク②:路地調査
この日は、路地を卒業研究のテーマとしている一人のゼミ生の研究対象地を全員で訪れ、対象範囲内の路地の悉皆調査を行いました。
幅の狭い路地は、現在の法制度においては、基本的に新しく生まれることはありません。京都のまちには、歴史的な市街地形成の経緯の中で生まれた古い道と新しい道が折り重なるように存在しています。路地に溢れ出る緑や、お地蔵さんのある佇まいなどから、都市空間の奥行きを感じさせる存在である路地が、現在もごく普通の住まいの場として息づいていることが感じられたのではないかと思います。一方で、空き家の存在や、傷みが進んでいる家屋の様子などから、まちの課題についても実感として感じられるフィールドワークでした。
(准教授 森重幸子)