こんにちは、山内貴博です。本稿は主に山内ゼミの四回生の活動を紹介します、宜しくお願いします。
ところで私たちの生活している住環境は、人(社会環境)と物(人工環境)と自然(自然環境)の三者が関係して調和する、歴史的に形成した総体としての「空間」です。建築を人々の生活や活動を支える空間の側から考えるとき、人・物・自然、個々の課題や技術とは違った、その要因や意味合いが意識され てきます。それは単に物の持つ物理的な強度のほかに、人の経験や心に受ける強度として、そのあるべき姿・形が問われる側面だと思います。そうした空間のありようを念頭に据えて「建築の持つ創作的な視界」について思考を深めていくことをゼミの目的としています。
活動は一年間、夏休みを挟んで前期と後期という構成になります。前期はみんなで集まって議論して、後期は一人ひとり卒業制作を進めていきます。また、夏休みは前期の気づきから各自フィールドワークを行っています。本学は二級建築士や木造建築士を在学中に取得することが可能な為、三回生の時におしくも試験に通らなかった人はこの前期と夏、再チャレンジしようと奮闘する人もいます。
前期は「地形と景観」の関係をテーマに、各自で設定した地域のリサーチを中心に活動しました。多くの人が自分の生活したことのある街を選びます。中には地形モデルを作成する人や国土地理院の地図をダウンロードして読み込む人(データが重くて結構大変)、古地図を時系列に並べて分析する人などいます。そんな机上の調査で得た情報を基に、改めて現地に赴きこれまで「無意識に見ていた風景を意識して見る」という現地調査を行いました。そこでの気づきや発見を持ち寄って、比較しながら類似性と差異についてゼミで議論します。そして各地域における「場の固有性」は何から生まれるのか解き明かそうと試みました。
以上のような取り組みを通して後期の卒業制作に進みます。
どんな卒業制作が生み出されるのか乞うご期待、ありがとうございました。
(教授 山内貴博)