今回は2年生前期の授業「京都学演習Ⅰ」の内容についてご紹介させていただきます。
この演習では、京都府内に位置する、あるいは京都に関連がある特色のある建造物やまちなみ、景観、庭園などを選定し、その歴史(由来、建設経緯や設計者など)や特性(意匠的・構造的特徴など)を調べ、専門家のみならず、誰にでもわかりやすくその魅力を伝えるパンフレットを作成することを課題としています。
まずはパンフレットのテーマを設定して調査物件を選定、実際に調査して、その内容を魅力的に表現して相手に伝える。創意と工夫が求められる課題となっています。
昨年・一昨年はコロナ禍の影響でフィールドワークが思うようにできませんでしたが、今年度はグループ毎のフィールドワークを再開しました。
東福寺フィールドワーク
泉涌寺フィールドワーク
伏見稲荷フィールドワーク
そして、フィールドワークが終れば、選定物件の調査、取材を行います。そして3週間おきのエスキースチェックに臨みます。
テーマの妥当性やそのアイコンのデザイン、テーマに沿ったストーリー設定、写真やスケッチの精度、文章の書き方などなど、あらゆる視点から内容を詰めていきます。
数度にわたるエスキースチェックを経て、また、昨年度の例なども参考にしながらレイアウトや色、折り方などを工夫し、より魅力的なパンフレットに仕上げていきます。
最終回ではこうして仕上げたパンフレットを用意し、みんなで講評会を行います。
それぞれの作品を実際に手に取り、良いと思った作品に投票します。
得票が多く優秀作品に選ばれた方には、みんなの前でプレゼンテーションを行ってもらいました。
この演習は、建築そのものの作品を制作するわけではないのですが、制作に至る調査方法やデザインプロセス、プレゼーション能力など、建築に関わる様々な素養が鍛えられたのではないかと感じております。
(准教授 井上年和)