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建築学部

新海俊一ゼミの活動について

建築学科の新海俊一です。大学院工芸学研究科と工芸学部建築学科・美術工芸学科の兼担教員ですが、学部では主に建築学科の演習・実習・ゼミを担当しています。現在、新海ゼミには10名の学部4年生が所属しています。今回は、当ゼミの研究テーマや活動、所属する学生の様子をご紹介します。

4年生は、前期の「建築デザイン演習Ⅲ」と後期の「卒業制作」で卒業研究に取り組んでいます。「建築デザイン演習Ⅲ」では、「卒業制作」を視野に入れた基礎的な資料の収集と文献研究を行い、学期末に卒業論文(らしきもの)をまとめました。当ゼミでは、この卒業論文(らしきもの)を、学術論文というよりも卒業制作の準備ノートと位置づけています。後期の「卒業制作」では、これをもとに、具体的なテーマや敷地、用途などを設定して設計・制作に取り組んでいます。

私自身の専門分野は、建築計画、都市計画、環境共生、情報科学、空間デザイン、デジタルデザイン、プロダクトデザイン等、多岐に渡りますが、卒業論文や卒業制作のテーマは学生自身が自らの関心に応じて設定し、どうしたら具体的な作品や提案にまとめられるか、週に2回のセッション(定例のゼミ)で学生と私が一緒に考えながら研究・制作を進めていきます。


今年度は、可変的な建築、建築家具、モバイルアーキテクチュア、農と住の共存、グリーンツーリズム、都市の綠空間など、建築、プロダクト、環境デザインに関わるテーマに取り組んでいる学生が多いように思います。また、最近では、CAD、BIMに加え、GISも活用して研究、制作を展開しています。


京美における私のゼミは今年度が第1期生で、学外での活動はまだそれほど多くはありませんが、週に2回のセッション以外では、1〜4年生の有志がお菓子を持ち寄って建築やデザインに関わるDVDを視聴する「ほぼ月に1回映画を観る会」を開催したり、ゼミ生が低学年の演習授業でSA(Student Assistant)を務めたり、オープンキャンパスのワークショップ参加者を指導したりといった、建築・デザインのリテラシーを高める活動や、教えることから学ぶ活動も行っています。

ここでは、ゼミに所属する学生が3年の後期に「建築デザイン演習Ⅱ」で取り組んだ設計演習の作品例を抜粋してご紹介します。この課題は私が出題した「地域のメディアセンター」という設計課題で、本に触れる空間(Library)とデジタル機器を用いたものづくりの空間(FabLab、fabrication laboratory)が複合した、地域の核となるコミュニティ施設の設計提案を求めるものです。CADやBIMを使いこなし、ほぼコンピュータ上で設計からプレゼンテーションまで行う学生もいますが、手描きのスケッチとコンピュータを用いた表現とを組み合わせて独自のプレゼンテーションを行う学生もいます。彼らの取り組みで特徴的なのは、企画段階で周到な情報収集を行い、その分析結果に基づいて論理的思考で設計を進める点です。これはいつも当ゼミの学生に推奨しているアプローチ手法でもあります。

建築デザイン演習Ⅱ 第2課題作品「みんなの庭」(抜粋)(設計:大西菜月)

建築デザイン演習Ⅱ 第2課題作品「アクティブメディアセンター」(抜粋)(設計:荻勝希)

建築デザイン演習Ⅱ 第2課題作品「まちのしぇあはうす」(抜粋)(設計:国吉美奈)

建築デザイン演習Ⅱ 第2課題作品「創作工房」(抜粋)(設計:山下美結)

あと1ヶ月足らずで卒業制作の提出締切ですが、新海ゼミの第1期生である4年生たちがどのような作品を完成させるのか、ドキドキとワクワクで私の胃が痛む日々はもう暫く続きます。

(教授 新海俊一)

1年生 工芸実習基礎Ⅰ 授業風景
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建築デザイン演習 Ⅰ(2年生)の建築設計課題について