こんにちは。建築学科教員の杉本です。
底冷えの京の冬本番が近づきつつありますが、街はクリスマスムードが高まっていて、ちょっぴり温かい気分です(^^♪
今日は3年生の設計演習の様子をご紹介します。
「建築デザイン演習Ⅱ」は、来年、卒業制作に取り組むことになる3年生にとって、思考訓練の場となります。後期はふたつの課題をこなします。
ひとつめの課題は、「京のメディアテークー包摂の場としての図書館を設計するー」でした。6週間かけて取り組みます。
この「メディアテーク」というのは、フランス語の「médiathèque」に由来し、「メディアを納める箱」を意味します。単なる図書館ではありません。目覚ましく発達する高度な情報化社会によって、多様化、複合化したメディアを取り込んだ施設を設計します。
敷地は、平安神宮、ロームシアターや京セラ美術館などの、文化的な施設がある岡崎地区と住宅地に挟まれた一画が設定されました。
この敷地をどのように読み取り、これからの時代、どんな人が、どのように利用し、そのための空間がどのように作られるのか、社会的な「誘引装置」の提案が期待されました。
授業の初日、各グループに分かれ敷地調査を行いました。
敷地調査後は、敷地とその周辺について分析し、どんな機能が必要なのか、どんな形が適しているのか、事例調査とコンセプトメイキングを行います。
今回の設計スタディでとても重要になってくるのは、どんな人が、どんな場所で、どんな事をするためにどういう空間が必要かという施設プログラムの検討です。
各グループスタジオ制で指導が進められ、各先生方の特色あるエスキースが行われました。
コンセプトメイキング→施設プログラム→ボリューム配置→プランニング→外構計画→空間表現(家具のデザイン等)
最終提出された学生たちの作品を見ると、東山の景色や疎水を意識し、テラスや大きな開口を計画したものが多く見られました。
琵琶湖疎水を敷地に引き込み、建物とその間の隙間を上手く繋いで、回遊性を向上させたプラン。
メディアテークらしくない、商店街のような庶民的な魅力によって、自然と人を引き込む計画。
建物の外観にインパクトを持たせ、人を寄せ付ける計画などなど、それぞれに創造力を働かせたいろんな形の「誘引装置」が設計されました。
最終講評会では、先生方から絶賛いただいたり、また、手厳しいご指摘もあり。これらのコメントは、今後課題に取り組むときの肥やしとなっていくのでしょう。
今回の課題で新しい試みがありました。それは最終提出物をA3の左綴じか上綴じにして、自分が設計したメディアテークにくる利用者が読むような「説明書(本)」の形にしようね!ということでした。
今回の優秀作品を「説明書(本)」にしてみました。
3年生は、夏休みの2か月に渡って行われた建築士対策講座による特訓明けでもあり、体力も消耗しているのではないかと思いきや、やはり若い!よく頑張ってくれたと思います。
現在取り組んでいるふたつめの課題は、「広場建築」。これもまたつかみどころのない、それぞれの提案力が問われる難しい課題となっています。
頑張っていきましょ~(^^)/
(文責:杉本直子)