2023年2月25日 建築学科卒業制作 優秀作品発表会が開催されましたので、報告します。
当日は、外部審査員に、 大阪市立大学名誉教授 谷 直樹 先生、 京都工芸繊維大学教授 松隈 洋 先生を迎えて開催されました。
当日は、あいにくの雪模様にも関わらず、来年自分が卒業制作を行う3年生を中心に多くの学生が熱心に参加し、1,2年生を対象に、ストリーム配信も行われました。
高田副学長の開会あいさつから、「研究論文」「設計」と続いて各発表が開始されました。
第1の発表は、井筒さんの「京都市における高経年マンションの管理実態に関する研究」と題する研究論文で、施設の維持管理の重要さをデータに基づき検証した、興味深い発表で、今回、「優秀賞」を受賞しました。
次は、岩佐さんの「霊雲院庫裏 ・ 小書院の耐震補強計画に関する研究 ~伝統木造建築を後世へ伝え残すために~」と題して、伝統木造建築の耐震補強に関する研究発表で、伝統建築の本来のデザインを変える事無く耐震補強を行う難しさが分かる良い発表だったと思います。
第3の発表は、内川さんの、「妻木頼黄の広島臨時仮議事堂の設計に関する研究」と題して、建築専門でも知らない、明治期の広島に臨時の国会議事堂として建設された建物に関する発表でした。
第4の発表は、丸野さんの「西山家住宅離れ・茶室の構造特性に関する研究」と題した研究発表ですが、シミレーションと模型による振動実験の双方で検証した発表で、実験用模型の大きさに圧倒された訳ではありませんが、内容が評価され「優秀賞」を受賞されました。
5番目の発表は、西邑さんの「非六枝掛組物の設計技法の研究 ~諸寸法の決定方法~」と題して、寺院で用いられる屋根に使われる組み物の研究で、京都美術工芸大学らしい研究内容だったと思います。
6番目の発表は、西元さんの「北野における勧進能と舞台建築に関する研究 ~勧進能場の復元~」として、かつて京都で開催された、能の公演の為の仮設的な建築を文献から復元を試みた研究で、その模型まで作成した意欲的な研究で、その内容が高く評価され、「最優秀賞(学長賞)」、松隈先生からの「審査員特別賞」を受賞しました。
論文発表最後は、降籏さんの「善光寺五重塔復元案の再生 ~立川流『善光寺五重塔図』より~」の研究で、長野の善光寺にかつて存在した五重塔を再建する為に作成された絵図から再建案の復元を試みた意欲的な研究内容でした。
当日は、先生方からのアドバイス、意見が活発に出されました。
続いて、「設計」の発表が続きます。
最初は、石井さんの「『いつもの道』を『いつも楽しい道』に」と題して、七条通りの地下利用に関する計画で、コンクリートの模型まで作成した、意欲的な設計でした。
第2の発表は、岩永さんの「私にとってのネイバーフッド」と題して、京都伏見の納屋町商店街に図書館を設ける計画を提案してくれました。その提案が評価され、「優秀賞」を受賞しました。
3番目の発表の上田さんは、「日常の風景のその先に」と題した、神戸市に計画した斎場、礼拝所、納骨堂を提案し、提案用途に合った非常に荘厳な雰囲気のプレゼンテーションだったと思います。その内容が評価され、松隈先生からの「審査員特別賞」を受賞しました。
4番目の発表の大谷さんは、「欅の陰に留まる ~通過点から居場所へ~」と題した和歌山駅の建替えの提案で、非常に印象的な構造の大屋根が特徴の計画であったと思います。
5番目は、小笹さんの「素材に囲まれる ~子どもと伝統をつなぐ場~」と題した、京都の市街地に計画した木造の学童保育機能を有した児童館の計画で、京都のまち中に建つことに配慮した計画だったと思います。その内容が評価され「優秀賞」を受賞しました。
6番目の発表の小屋敷さんは、「高瀬川 舟入舟運」と題した京都の市内を流れる運河「高瀬川」のかつての姿を意識した景観の提案で、模型が長大で迫力があり、説得力もある提案だったと思います。
8番目の作品は、夏目さんの「ホリスティック治療を広めるストレスケアセンター」と題した新しい治療法に基づいた医療施設の提案で、治療のための様々な空間を提案していました。
9番目の作品は、福永さんの「あいだで過ごす ~道路状公園の計画~」と題した、かつて京都市内を川として流れていた「音羽川」上部を道路上公園として再整備する提案で、幹線道路から離れた新しい歩道状の公園を提案するものでした、今回その内容が評価され「優秀賞」を受賞しました。
10番目は、真木さんの「未来を創る相談所 ~自然と人との交流~」と題した、心のケア施設を提案し、現代社会の問題を注視した提案だったと思います。
11番目は、水元さんの「重ね、 重なり、 連なり、 紡ぐ ~伏見稲荷改善計画~」と題した、京都のJR稲荷駅建替、現在少し納まっていますが、観光客による混雑問題を解決提案を行いました。
12番目は、村田さんの「おいしく豊かに生きること ~「食」 をコンセプトに 「食に関わる人々」 のコレクティブハウス~」と題した、食を通じた住人同士のコミュニケーションをテーマにした設計提案を行っていました。模型も大きく迫力がありました。
13番目は、矢野さんの「織成 ~ラオス市場から広げる文化~」と題したラオスの首都ビエンチャンの市場に設けるアーケード・飲食店・文化教育施設を提案し、屋根が重なる現地の特徴的なデザインを反映した計画で、設計での「最優秀賞(理事長賞)」、谷先生からの「審査員特別賞」を受賞しました。
発表会は無事終了し、最優秀・優秀・審査員特別賞以外の発表者も佳作を受賞しました、みなさんの卒業後のそれぞれのフィールドでの活躍を期待します。