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建築学部

井上年和研究室の紹介

こんにちは。

今回は井上年和研究室のご紹介をさせていただきます。

当研究室は、「伝統建築領域」に分類されます。

研究テーマは、

 1.歴史的建造物・歴史的景観の保存・活用・継承に関する研究

 2.失われた建築や庭園、まちなみなどの復元研究

 3.伝統建築の耐震性に関する研究

 4.芸能やお祭りなどの伝統文化と建築・都市空間との関連に関する研究

 など、多岐にわたります。

歴史的建造物と言っても、神社仏閣や古民家、京町家、城郭、近代建築(明治~大正~昭和初期頃の煉瓦造や洋風建築など)、茶室や数寄屋など様々なバリエーションがあり、また、これらが集合して「しきち」や「まち」・「むら」、そして「都市」となり、これらは地理的条件や気候変動、災害や社会の情勢を受けて変化していきますが、その成り立ちを歴史的に明らかにしていくことは、これからの社会が発展していくために非常に重要です。

これらの建築やインフラストラクチャー(いわゆるハードウェア)は、人々の生業や文化(いわゆるソフトウェア)と密接に関連し、経済などの社会情勢にも影響を受け、盛衰を繰り返しているからです。

また、ハードウェアの姿は、ソフトウェアを映し出す鏡となり、景観として視覚化されていると言ってもいいかもしれません。

そのために当研究室ではフィールドワークに重点を置いて、実際に現地を訪れて建物調査やヒアリングを実施し、古文書や古地図などを頼りに歴史的な変遷を明らかにしたうえで、これからの未来が提案できるように努めています。

昨年度も、神社建築、城郭、近代近郊住宅、京都で最初の国際ホテル、祇園祭、河川の景観、伝統建築の耐震性などをテーマに熱心な研究が実践され、各々が卒業し社会人として活躍を始めています。

その中で、昨年度4年生の卒業制作を一つご紹介させていただきます。

2022年度の卒業生とともに                 卒業制作作品前で西元愛理さんと

西元愛理さんは、江戸時代(元禄年間 西暦1700年頃)に北野天満宮の南の敷地で開催されていた勧進能場(能を開催する舞台と客席、周囲の出店や入場口、塀など)の研究を行いました。

これは、200メートル角ほどの敷地に約1週間の能を開催するために建設された屋外劇場で、当時の北野天満宮周辺における芸能空間の姿やその実態を明らかにしました。

西元愛理さんの作品「北野における元禄15年勧進能場の復元研究」の模型

この作品制作のために、現地や史料、能舞台の構造、芸能史などを調べ、よりリアルな姿が浮かびあがってきたのです。

同上 Archi Cad & Twin Motion による 3D Model

この作品は日本建築学会のホームページからも閲覧できますので、是非ともご覧ください。

日本建築学会 第64回全国大学・高専卒業設計展示会 → 出展作品

その中で121番が西元さんの作品となっています。→ 北野における元禄15年勧進能場の復元設計

また、作品の中で動画のQRコードも公開されていますので、ここでも紹介させていただきます。

西元さんの作品のyuotube動画

さて、4月からは新4年生が研究室に配属され、新たな研究生活をスタートさせています。

今年度も、社寺建築の復元・改修履歴、茅葺民家の変遷と活用、京町家の変遷と活用・耐震性、武家屋敷の調査、芸能空間の研究、祇園祭の山鉾などをテーマに、様々な研究が行われる予定となっています。

これからの成果に乞うご期待です。

京都府園部町にある天引村倶楽部での調査風景

(文責)井上年和 准教授

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