みなさん、こんにちは。建築学科教員の生川(なるかわ)です。
研究テーマは『「すまい」の文化的持続可能性を考える。』
都市住宅の集大成とも言える京町家をはじめ、戦後復興期に建設された築70年になる市街地型住宅団地、都市居住の先駆けとなった築40年を超える高経年分譲マンションなど、京都には、異なる時代を背景とする多様な「すまい」が混在しています。歴史都市として、いかに文化的見地から、これらを建物単体としてだけではなく、お互いに持続性を持ったまちづくりとして共存させていくのか、その方法論を研究しています。
この4月から4回生10名(内1名は一年間のカナダ留学から帰国)が生川研究室に配属されました。卒業設計に関するセミ活動として、隔週の全体発表と週1回の個別エスキスとフィールドワークを行っています。当研究室は、学生の主体性を尊重し、司会進行、質疑応答、議事録作成に至るまで、学生同士が協力して運営しています。先生から学ぶだけではなく、学生同士が切磋琢磨し、むしろ社会の中で自ら学びながら生き抜いていく力を身につけてほしいと考えています。
現在、卒業論文2名、卒業制作7名、そして大谷翔平ならぬ卒業論文と卒業制作の二刀流1名がいます。制作テーマは、地元の地域再生につながるような建築の提案を中心に、将来の夢にもつながるスペースポートの設計まで、多種多様で非常に刺激のある提案になりそうで、完成発表会が早くも楽しみです。是非、学生らしい夢のある建築となることを期待しています。また、研究についても、解体が決定し住民が退去したまま存置されている築70年の堀川団地を対象に、目まぐるしい社会変容の中で住空間の改善行為を繰り返してながら生き抜いてきた生活痕跡を観察・記録化する住みこなし調査、京都らしい景観の連続性を問うまちのエレベーション調査、そして国土交通省のマンション管理適正化・再生推進事業の一環で行う、高経年マンションの管理実態が流通価格に与える影響に関する統計調査など、まさに、『「すまい」の文化的持続可能性を考える。』にふさわしいテーマになっています。こちらも研究成果が楽しみです。是非、新しい発見につながることを願っています。
それでは、ここで少しこの4月からゼミ活動の一環で行ってきたミニレクチャー+フィールドワークについて紹介します。
4/19・26日 京都府住宅供給公社堀川団地
4/28 三井下鴨別邸
5/5 伊根町の舟屋
5/12 先斗町・三条通の景観まちづくり
5/19 京都迎賓館
生川研究室のモットーは、徹底した現場主義とコミュニケーション。この4月から、ほぼ毎週、もう既に5回実施しています。とにかく、ジャンルを問わず、一つでも多くの建築に触れ、それに関わった人たちの言葉を直接聞くこと。これから社会に役立つ建築人になるために、有意義な一年となることを祈っています。
最後に、コロナも解禁になり、町家でノミネーション。建築談議?で盛り上がってます。