この演習科目では、アイデアの段階から最終的な図面まで、一連の建築設計のプロセスを経験します。2年生は、当大学に入学してからこれが初めての本格的な建築デザインになります。創造力の発揮しどころであり、1年間基礎がためをしてきた、製図やCGの腕も、ここが見せどころ。
たんに美しい建物を設計するだけではありません。出題には具体的な敷地やプログラム(用途)が設定され、周辺環境、来客やスタッフの動線、光や風の取り込みかたや土地の歴史など、さまざまな条件を考えながらオリジナルな建築を生みだしていきます。
今回の敷地は、平安神宮の大鳥居にほど近い570㎡あまりの角地です。琵琶湖疎水に面し、課題が出題された4月初頭には、満開を過ぎた桜も美しく咲いていました。
ここに、地元のひとにも観光客にも居心地のよい複合施設を設計していきます。プログラムは、オープンテラスつきのカフェと、ブックショップその他の店舗。それぞれの床面積はおおよそ決められていますが、あとは学生各自の調査と発想に委ねられます。
1学年160人あまりを擁するKYOBI建築学科ですが、できあがった各案は千差万別。各自が表現したいものに合わせて、「手描き」「模型」そして「CG」を駆使します。
優秀作品のなかから、それぞれのツールの使い方をみてみましょう。


手描き図面。
敷地境界と建物とのあいだ(外構)も含めて、丁寧にデザインされています。
設計のプロセスで考えたことが、ダイレクトに伝わってきます。



コンセプトにしたがって、プレゼンテーションの仕方も変わります。
この案では手描き図面とマンガを使い、建物のふるまいを丁寧に説明しています。
自由な発想と、設計の良さを伝える熱意のたまもの。


模型は、建築の三次元的造形を考え、伝えるための重要なツールです。
ここでは、敷地の奥行きや、複雑な屋根のかたちを立体的に伝えています。
さらに模型写真に人を描きこむことで、にぎわいを表現。


CG。2年生の時点でここまで使えるようになります。
太陽の位置や光、気候などを自在にシミュレーションできます。
(文責:江本弘)