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建築学部

根來研究室の紹介2023

こんにちは。建築学科教員の根來です。昨年開設、今年度で2期目、4年生6名が所属している研究室です。

教育の方針~自立できる設計者を目指して~
 感性と理性を両輪で磨き、実践していくことを大切にしています。KYOBIは美大ゆえに、感性の優れた学生が多いように思います。しかし実社会は感性だけで生きて行けるものではありません。特に建築設計の分野においては、設計者ひとりで完結する世界ではなく、施主がいて、つくる人がいます。さらにその向こうには、素材を生産する人がいて、地域産業が成り立っています。その結果として、風景や街並みが形成され、歴史や文化が醸成されていきます。学生たちが社会に出た時、設計という行為を通じて、多くの人と対峙し、共感しあい、ともに協働していくためには、自身の思考を相手に的確に伝える能力としての論理的思考力は必要不可欠となってきます。そんな思いから、前期は学生各自が自ら興味のあるテーマを設定し、独自の切り口を見つけ、それを深掘りし、自らの力で研究成果をあげてもらいました。そのプロセスにおいては、学生同士でディスカッションし、切磋琢磨しあい、他者の考えを包摂しながら、視野を広げていきました。私自身は住宅設計を専門としているため、それを前提とした学生が集まってきていますが、研究主体は学生であり、その内容は下記のように多岐にわたっています。

2023年度生が取り組んだ研究テーマ(前期)~オリジナリティを求めて~
・大橋未果|民家建築から読み解く日本の暮らしに関する研究
・林田悠我|平面構成と断面構成から考える住まいの空間演出に関する研究
・阿近結衣|家族のコミュニケーションを促す住まいの空間構成に関する研究
・田島春菜|家開き ~家をまちに開くコミュニティ空間に関する研究~
・上田紗矢香|増やす・減らすを取り入れたリノベーション住宅の革新性に関する研究
・杉森拳心|地球環境にやさしい木造建築物の構造方法に関する研究

教室を飛び出す~リアリティを求めて~
 理性を培うとともに、感性を磨くこと。それには、いい建築を見て、体感することが一番。京都やその近郊には、素晴らしい建築がたくさんあります。以下は、2023年度生有志とともに、月一回くらいのペースで出掛けた見学先です。①佳水園(設計:村野藤吾/リノベ:中村拓志)、②四君子苑(工匠:北村捨次郎/母屋設計:吉田五十八)、③京都迎賓館(設計:日建設計)➃大河内山荘庭園(工匠:笛吹嘉一郎)、⑤藤野家住宅(工匠:三上吉兵衛)、⑥苔寺(作庭:無窓国師)⑦聴竹居(設計:藤井厚二)、⑧待庵(設計:千利休)、等々。

卒業制作(後期)に取り組む~自分らしく生きる道~
 後期がはじまり、現在は前期で得られた研究成果の実践の場としての卒業制作に取り組んでいます。卒業制作というのは、たいへんなエネルギーを使います。建築の学生というのは不思議なもので、就職も決まり、遊びたいだろうに、何故ここまで打ち込めるのだろう?と思うことはあります。私が言えることは、その時間は決して無駄ではなく、今後の人生の糧になるはずです。長い人生、様々なハードルが待ち受けています。ハードルにぶち当たった時は、仲間とともに切磋琢磨した時間を思い出して欲しいと思います。きっと乗り越えられます。残りの学生生活、自分にしかできない時間を過ごしてもらいたいと思っています。

(講師 根來宏典)

砂川研究室の紹介 2023
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3年生「建築デザイン演習Ⅱ」(建築デザイン領域)の授業風景をご紹介します