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建築学部

新海研究室の紹介 2024

 こんにちは。建築学部の新海(シンカイ)です。私の専門分野は建築、インテリア、都市計画、環境デザイン、家具デザイン、デジタルファブリケーション、環境共生など多岐にわたります。学部では建築設計やコンピュータ利用技術に関する演習、実習、そして卒業制作の指導を担当し、大学院では都市デザインやインテリアデザインに関する講義科目や演習科目を担当しています。

 今年度の新海研究室には大学院修士課程2年生1名と学部4年の卒業研究生(以下、卒研生)10名の合計11名が所属しています。新東館4階の中央にある研究室では、週2回の卒業研究指導の他、プロジェクト活動や大学院の講義、ほぼ月に1回映画を観る会なども行います。 研究室には座って体感できるデザイナーズチェアや図書館に収蔵されていない多数の書籍があるため、興味がある学生が時々覗きに来ています。

研究室の日常風景
卒業研究ゼミ

 卒研生たちは前期の「建築デザイン演習Ⅲ」で、後期の「卒業制作」(以下、卒業設計)に向けた事例研究に取り組みました。まず、卒業設計で取り組みたい計画・設計テーマに関連する既存事例(作品やプロジェクト)を100〜200件を目標に収集し、分類・整理します。これをもとに、敷地、用途、特徴的な空間、設計手法などの側面から事例研究を進めます。

 その後、卒業設計で特に参考にしたいと思う要素を含む事例を1件選んで、図面・画像の収集や、設計コンセプト、敷地、周辺環境の分析などを行って、プレゼンテーションシートにまとめます。CADやBIMを用いて3次元モデル、CG画像、動画、模型などを制作し、選んだ作品の特徴、魅力、設計手法などを詳細に研究し、卒業設計の企画立案に活かします。つまり、前期は卒研生全員が情報収集・分析、模型制作、3Dモデリング、動画制作の技術を学び、後期の卒業設計に必要な基礎力を磨くわけです。もちろん、学生個々に得意・不得意がありますが、ゼミでのディスカッションだけでなく卒研生同士で情報を共有したり互いに教え合うことで苦手分野を克服していくのも特徴です。8月2日・3日に開催された「建築デザイン演習Ⅲ 成果発表会」では前期に行った事例研究の成果を発表しました。卒研生達がまとめたプレゼンテーションシートは後段でご紹介します。

建築デザイン演習Ⅲ 成果発表会

 今年度は、研究室活動の一環として、本学非常勤講師でもある中村卓先生のデザイン事務所NDL2とのコラボレーションである「建築百貨店」プロジェクトにも取り組んでいます。このプロジェクトは、建築やインテリアをモチーフとした日用品、文具品、雑貨品などを企画・開発・製造し、実際にオンラインショップで販売しようとする実践的デザイン研究・教育プログラムです。今年前期には4年生の卒研生6名と1、2年生の有志4名が参加して計8点の商品開発に取り組みました。

隔週のミーティング
エスキス指導
プレゼンボードの作成

 「建築百貨店」プロジェクトで開発された商品(作品)は、7月28日に西神戸のなでしこ芸術センター アートホールで開催された、NDL2主催の展覧会「デザインを『する』暮らしからデザインを『うむ』暮らしへ」展(「するからうむ」展)」の中でお披露目させていただきました。この展覧会にはNDL2の私塾であるデザインレッスンに通う小中高生、大学生、社会人の皆さんが1年間の成果を展示・発表されていましたが、参加したプロジェクトのメンバー達は、レッスン生の方々の発想、技術、情熱に触れ、展覧会の設営から撤収までの過程に携わり、来場者の方々を前に口頭発表したことで、ものづくりのプロセスとプレゼンテーションの役割について実践的に学ぶことができたようです。今回お披露目した商品は今年前期の成果でしたが、後期以降も「建築百貨店」プロジェクトを継続していく予定です。今後、さらなる優れた商品の提案が期待されます。

「するからうむ」展
「するからうむ」展での展示
「建築百貨店」プロジェクトの作品

 新海研究室では現在、公園整備計画の基本構想立案も手がけています。卒研生の中には生物多様性、環境共生、環境建築などに興味を持つ学生が少なくありません。研究室には生物多様性を保全し、人と自然環境との共生をはかる環境デザインに興味を持つ学生達が集まっており、こうした実践的な環境デザインプロジェクトにも積極的に取り組んでいきます。

 研究室の大学院生や卒研生たちは、私が担当する1年前期の実習科目である「建築設計導入実習」のTA(Teaching Assistant)やSA(Student Assistant)としても活躍しています。また、オープンキャンパスのワークショップに参加する高校生たちを指導するなど、建築やデザインに関する知識を深めるだけでなく、後輩を指導することから学ぶ機会も得ています。

建築設計導入実習の講評会
オープンキャンパス模型ワークショップ

 私の研究室ではCAD、BIM、CG、GISなどの実践的な活用方法に限らず、スケッチ、模型、映像など、さまざまなメディアを組み合わせてアイデアを伝える方法を探求しています。卒研生の卒業設計に対する取り組みの特徴は、企画段階で緻密に情報収集し、その分析結果に基づいて論理的に計画や設計を進める点です。ここで、4年前期の「建築デザイン演習Ⅲ」で卒研生たちが行った事例研究のプレゼンテーションシートをご紹介します。

事例研究1(有松健)
事例研究2(井上竜希)
事例研究3(大崎秀人)
事例研究4(北川響)
事例研究5(佐藤友理)
事例研究6(杉江宏斗)
事例研究7(髙木洋翔)
事例研究8(樋野悠雅)
事例研究9(升成萌綺)
事例研究10(水鳥幸美)

 夏休み中に卒研生たちは後期の卒業設計に向けて敷地調査や造形研究に取り組んでいます。今年度の卒研生たちは環境共生をテーマとする学生がほとんどです。今年も、卒研生達がどのような卒業設計をまとめ上げるのか、その成果に大いに期待しています。

(教授 新海俊一)

新海研究室の紹介 2023
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