デザイン領域の岡です。
今回は7月末に開催したデザイン領域2年生の授業「デザイン基礎実習Ⅱ」の合評の様子をご紹介します。この授業は選択課題で、全6課題のなかから2課題を選択して前期のあいだに作品を制作します。
ビジュアルデザイン課題のひとつ「音の視覚化」は、「「音」「音楽」をテーマにして、それらが持つ不可視のイメージをデザインとして伝達するために視覚化する。」「ループアニメーションとグラフィックの制作を通してメディアによる表現方法の違いを学ぶ。」ことを目的にした課題です。簡単に言うと、自分の好きな曲を選んで、その曲からイメージしたビジュアル(映像とポスター)を制作する、という課題です。映像は数秒〜10数秒程度の映像を1曲のあいだループさせて、ポスターはB1サイズ(1,030×728mm)という大型のものを制作しました。合評では、自分の作品の前でコンセプトや制作意図などをひとりずつ発表してもらいました。
作品をいくつかご紹介します。
「UPDATE」というタイトルで制作してくれた作品です。Perfumeの「超未来」という曲からイメージしたストーリーをアニメーションで表現しています。シーンの切り替えが上手いです。(※著作権保護のため動画の音声はカットしています。曲はほかの動画サイトなどで聞いてみてください。)
「Forest Sound」というタイトルの作品です。音楽ではなく、自分で録音した森の音を使っています。大胆な構図の映像と対照的にポスターは俯瞰で見せるという対比が面白い作品でした。ポスターの方は木々の抽象的な表現も面白いです。
indigo la Endの「蒼糸」という曲からイメージした作品です。うまくループできてます。窓から入ってくる風が感じられて、ずっと見ていられる映像になっています。そして、猫がかわいいです。(※著作権保護のため動画の音声はカットしています。曲はほかの動画サイトなどで聞いてみてください。)
ポスターの方では、ゼリー?を食べ終わっていて、映像と一緒に見ると時間の経過が分かるのと、心情の変化なんかも読み取れそうな作品です。
The Beach Boysの「Getcha Back」です。懐かしい。ループ映像を制作するという課題だったのですが、この作品は、1曲丸々映像をつくってしまった!という大作です。しかもコマ撮りです。登場人物の心情や人間関係などを歌詞からイメージしてみてください。(※著作権保護のため動画の音声はカットしています。曲は他の動画サイトなどで聞いてみてください。)
ポスターも2種制作してくれました。
ほかにもご紹介したい作品はたくさんあるのですが、今回はここまでにします。作品を見ていると、今年はイラストが得意な学生が多かったようです。それと、選んだ曲から学生の個性も垣間見れて、こちらも楽しかったです。
今回課題として取り組んでもらったポスターは、その歴史を19世紀末まで遡れますが、一方で動画サイトなどで使用されるループアニメーションは、最近頻繁に見られるようになった手法です。とはいえ、ポスターも映像も共通して色彩や構成、文字をデザインするタイポグラフィなど、いろいろな要素をまとめあげるデザイン力が必要になります。従来からあるメディアと新しいメディアとをビジュアルで自由に行き来できるような、柔軟なデザイン力を身につけてほしいと思っています。
デザイン領域 ビジュアルデザインコース 准教授 岡達也