今回は陶芸コースの一年生の課題『下絵付』についてお話したいと思います。
『下絵付』とは、土で成型したものを一度素焼き(約800℃)したものに、絵を描く技法です。
絵を描いた上に釉薬を掛けて本焼きすることから、釉薬の下に絵があるので『下絵付』といいます。
一般的に陶芸の下絵付は、コバルト主成分とした「呉須」と呼ばれる絵の具で描き、焼成すると青く発色する・・・別名として『呉須絵』・『染付』・中国では『青花』と呼ばれます。
絵付けの実習はまず運筆と呼ばれる、紙面上で筆の使い方を学ぶことから始めます。
題材として「四君子(しくんし)」の蘭・竹・梅・菊を描きます。
見本を見ながら、半紙に墨汁で練習します。
紙面上で描けるようになったら、自作の四方皿で本番です。
描く前に呉須の焼き上がりの発色をよくするために、ガラス板に出し、水ではなくお茶で水分量を調節して、角乳棒で呉須の粒子が細かくなるまで良く擦ります。良く擦った呉須で四君子を描きます。
内側に四君子が描けたら内側面に雲を描き、口辺を弁柄(酸化鉄)で塗ります。
絵が完成したら、透明になる石灰釉を掛けて、窯詰めして、還元焼成(1250℃)します。
焼き上がりー。素地も白く、呉須の発色も良いようです。
今回は陶芸一年生の『下絵付』についてお話しました。四方皿はまだ紙面上に描くことに近かったですが、今後は自作の煎茶碗になるので、立体物に色々な図柄を描いていくことになります。今後の課題のことは次回に。
工芸領域 陶芸 特任講師 守﨑正洋