2024年3月末より、芸術学部デザイン・工芸学科 工芸領域 木工・彫刻コースの森和輝さん(3年生)と特任講師 青木太一先生、講師 玉村嘉章先生がヴィラ九条山2024年度レジデントのシモン・ニケーズ氏(彫刻家)のデザインによる作品の制作に取り組み、4月24日についに完成しました。
フランスで醸造所の運営も手掛けるシモン氏は、日本滞在中、日本酒や醤油といった日本の醸造に関するリサーチおよびそれらを通した「精神の発酵タンク」の構築などに取り組まれています。
このたびの作品制作もその一環です。醤油を樽仕込みで作る際に諸味をかき混ぜる櫂棒をモチーフにした杖に、椀と俳句と自身の進化をイメージするカタツムリを配した作品をデザイン。完成した作品は、小豆島の醤油醸造所で樽の中に2年間漬けられます。
カタツムリは森さんが担当。胴体の途中からピーナッツに変化し、殻部分は醸造の樽というシモン氏のデザインをとても面白く感じたという森さん。大学の課題以外でも意欲的に根付などの制作活動をされている技術を活かして、ユーモラスなデザインがツゲ材で細部まで丁寧に表されています。
杖と椀は玉村先生が担当。180㎝長さの杖は北山杉の一材を用い、椀も杉材の美しい木目を活かして作られています。
俳句は青木先生が担当。蕪村の句「涼しさや 鐘をはなるる 鐘の声」のシルエットがツゲ材で彫り表され、杖につけた後は可動するつくりになっています。
杖にすべてのパーツをつける仕上げ作業はシモン氏が来学して木工実習室で行われ、現場で微調整しつつ満足される仕上がりとなりました。
作品が醤油樽の中でどのような変化を遂げるのか、いずれまたご紹介いたします。
ヴィラ九条山(※) Webサイト
※ヴィラ九条山は、フランスのヨーロッパ・外務省の文化機関です。アンスティチュ・フランセの支部の一つとして活動し、主要メセナのベタンクールシュエーラー財団とアンスティチュ・フランセパリ本部の支援を受けています。
( La Villa Kujoyama est un établissement artistique du réseau de coopération culturelle du Ministère de l’Europe et des Affaires étrangères. Relevant de l’Institut français du Japon, elle agit en coordination avec l’Institut français et bénéficie du soutien de la Fondation Bettencourt Schueller, qui en est le mécène principal. )