8月4日(日)、2024オープンキャンパス夏のスペシャル企画「特任教授による講演会」第2回として、宮本貞治先生による講演会を開催しました。
宮本先生は今年でキャリア50年となる木工家で、日本伝統工芸展をはじめ様々な工芸展で受賞され、2013年に紫綬褒章を受章、昨秋には重要無形文化財保持者〈人間国宝〉に認定されました。本学では2013年に教授に就任されて以降、多くの学生たちの指導にあたり、木工芸を担う後進を多数輩出されています。
今回は「宮本特任教授に学ぶ木の魅力とものづくりの楽しさ」と題し、講演に加えて実演と参加者の木工体験も実施しました。
講演会では、父親が家具職人だったこともあって幼少の頃から本物の道具を使ったものづくりをしていたこと、学校に通う頃には欲しいものや気に入ったものがあれば何でも自分でつくり、その作業を通してものづくりの楽しさを知ったこと、そして大学浪人中に縁あって黒田乾吉氏(木工芸作家・黒田辰秋氏〈人間国宝〉の長男)に出会い木工芸の道に入ったことなどをお話しされました。
黒田氏に出会ったことで現在の宮本先生の作品の特徴となっている拭漆の美しさやいろいろな木を知ることになり、さらに10年の弟子入り生活を経て独立後、試行錯誤の時期を経て琵琶湖の波跡に着想を得た独自の流紋の作風を確立するに至ったそうです。
宮本先生が黒田氏に入門される際に伝えた言葉「『藍より青く』でがんばります」にある「青は藍より出でて藍より青し」および「守破離」という言葉の意味を調べることを参加者への宿題としていただきましたが、先生のお話は一貫して何よりもものづくり、木工芸に取り組む楽しさに満ち溢れていました。
講演会後は木工実習室で完成作品を前に、流紋を生み出す鉋掛けを宮本先生に実演いただき、参加者は息をのんで見つめていました。
さらに、参加者たちも大鉋と豆鉋での鉋掛けを体験。宮本先生の実演ではいとも容易く見えた作業の難しさに驚くとともに、ものづくりの楽しさやそれぞれに質感の異なる木の魅力に関心を深められた様子でした。
※今秋、鴨川七条ギャラリーで宮本先生の展覧会を予定しています(詳細は後日公開)