本学と京都府福知山市との間に締結された「文化芸術振興協定」に基づき、2016年8月30日(火)に第2回目の、翌8月31日(水)に第3回目の「社会活動Ⅱ 丹波漆植栽地保全活動」が実施されました。本活動は専門的な内容で、実習内容と関連性が強い特長がありますが、今回の活動も第1回目と同様、材料である日本産漆の生産現場における保全作業の手伝いを行うという内容でした。
30日の午前中は前回同様、福知山市夜久野町平野地区の漆の苗畑の草刈りを行いました。前回の第1回目でも除草を行いましたが、この2か月足らずの間にまた雑草が繁っていました。
午後からは平野地区の植栽地でネットに絡みついた雑草の除去作業と漆の木周辺の草刈りを行いました。
ネットに絡みついた雑草です。上が除去、前下が除去後の様子です。
午後からは平野地区の植栽地でネットに絡みついた雑草の除去作業及び漆の木周辺の草刈りを行いました。また、毛虫による害についての説明もしていただきました。
植栽地での作業の後、木と漆の館で展示スペースの資料展示と漆芸教室で使用する道具の制作を行い、また施設についての説明もしていただき1日目の活動は終了しました。
2日目の31日は早朝5時30分に起床しました。漆掻きの研修を受けるため今年漆掻きが行われている夜久野町板生地区の植栽地に移動しました。NPO法人丹波漆の山内さんより漆を掻く時の諸注意などを受け、実際に漆を掻いてみました。
夜久野町板生地区の植栽地は山の上にあります。休耕田を利用した敷地に漆の木が植えられています。
漆掻きの作業も工芸と同様、丁寧で素早い動作が求められます。
初めての漆掻きの作業でしたので、慣れない事ばかりでしたが何とかやりとげました。
漆掻き作業の後「やくの木と漆の館」にて日本産漆の精製の講習を受けました。漆の精製には「なやし」と「くろめ」の二つの工程がありますが、約90分間ガラス板の上でドライヤーの冷風を当て、水分を飛ばしながらヘラで漆を撹拌し成分の配置を均質化、白濁した漆を茶色味がかった透明の「素黒目漆」に加工しました。
20分に1回、漆をガラス板に薄くのばして色や透明度を観察します。今年は1班のみの精製作業になりましたので他の方法との比較はできませんが比較的粘度の低い状態になりました。
精製作業の後、午後からは前日同様漆芸教室で使用する道具の補修作業を行いました。絵付け用型紙の繕いと新規での制作でした。これで第2日目の活動を終了いたしました。
台風の影響が心配されましたが、今年も昨年同様漆掻きの様子を見学でき、実際に漆を掻くことができました。また、草刈りなどの保全作業や漆の精製の体験などを通じ、普段の実習ではなかなか経験できない漆の生産現場における多くの事をより深く学べたと思います。今回の経験を植栽イベント「うえるかむまつり2016」で生かし、より良い形で成果発表ができるようにしたいと思います。